絵画の贋作に価値や買取需要はあるの?天才贋作者のハン・ファン・メーヘレンとは?

絵画の贋作に価値や買取需要はあるの?天才贋作者のハン・ファン・メーヘレンとは?

天才贋作者とうたわれた画家

今から50年以上前のオランダに、ハン・ファン・メーヘレンという稀代の天才贋作者が存在しました。

メーヘレンは同時期に活躍していたダリやピカソの絵の作風は好んでいなかったようですが、唯一フェルメールという偉大な画家だけは認めて尊敬している人でした(>_<)

 

フェルメールに関しては、絵に興味のない人でも一度は聞いたことがある名前だと思います。

 

♠フェルメール展は今年の2月3日まで東京都上の森美術館で開催されていました。

大阪市立美術館では5月12日まで開催中です。

 

メーヘレンと贋作

メーヘレン自身も画家としての確かな実力と才能はあったのですが、いろいろと紆余曲折があり、結局、贋作に手を染めていきました。

メーヘレンの贋作で最も有名なのが、彼が勝手にフェルメール作ということにした『エマオの食事』という作品です。

メーヘレンは贋作を製作するときに、必要な絵の具や溶剤などを全て自分で手作りし、額縁もフェルメールが存在した17世紀の無名の画家の絵(もちろん額縁も17世紀のもの)を購入し、中の絵だけを取り外したり削ったりして額だけ使用するという徹底ぶりでした。

 

さらにより年代物であると印象付けるため、しわを付けたり墨を塗って黒ずませたり、窯でパンを焼くように焼き加減に気を付けながら焦げ目をイイ感じにつけたりと、とにかく絵に対する知識と贋作への執念が凄まじい人物です。

上の画像がメーヘレン作の贋作『エマオの食事』

そして出来上がった最高の贋作『エマオの食事』を、”フェルメールの未発見絵画”として資産家たちに売り込み、最後には高額でオランダの国立美術館に売りつけることに成功しました。

 

しかもメーヘレンは他にも自作したフェルメールの贋作を、当時ナチスのナンバー2であったヘルマン・ゲーリングに騙して売りつけることにも成功し、結果としてオランダの文化財をナチス・ドイツから守った英雄兼20世紀最高の贋作者として名を馳せることになったのです。

そんなバックグラウンドのあるメーヘレン作『エマオの食事』は、現在もオランダのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に戒めとして展示されています。

その他のメーヘレンの贋作の数々も美術館に貴重な資料として保管されています。

 

贋作に高値がつくことはほぼあり得ないのですが、今回のようなメーヘレンレベルの贋作者ともなると、やはり高額で買い取られる可能性は高いでしょう。

 

実はメーヘレンはかなりの数の贋作を製作していたので、まだ未発見の作品が存在する可能性が大きのです。

 

本来なら贋作自体は犯罪ですし、作者、購入者、鑑賞者全てへの冒涜です。

 

しかし、メーヘレンの天才的技術や絵に対する情熱に偽りはありませんし、1947年に亡くなってから歴史的に日も浅いため、彼への評価は研究者によって賛否が分かれている状態で、とにかく話題に事欠きません。

 

そんなメーヘレンの作品を、もし所有者がネットオークションに出品したとしたら、おそらくかなりの入札者と落札価格を期待できるでしょうね(*_*;(*_*;

 

このように、年代物の美術品に興味深いバックグラウンドストーリーが加えられると、たとえ贋作だとしても高額な買取を期待できるのです。

 

♠♥♠ちなみに日本でも肉筆浮世絵の贋作を大学教授が見誤り、画集まで出版されたという「春峰庵事件(しゅんぽうあんじけん)」など、完成度の高い贋作にまつわる事件が起こっています。

 

♠豆知識ーエマオの食事ー

「エマオの食事ってなに????」と疑問に思う方もいらっしゃると思うので、簡単に解説いたします(‘◇’)ゞ

 

エマオ(Emmaus)は新約聖書のルカの福音書(24章13〜35節)に登場する地名であり、「温かい井戸」という意味があります。

 

なんだかほっこりする地名ですね(*‘∀‘)

 

そこでイエスの弟子であるクレオパ(クレオパトロスという名前の短縮形であってクレオパトラではないですよ)ともう一人の弟子がイエス・キリストと出会い、語り合い、食事を共にするのです。

 

要するに、「エマオの食事」は2人の弟子が復活したイエスと出会って、エマオという街で食事をしているシーンを描いているのです。

 

フェルメールだけでなくカラヴァッジョやレンブラントなど、多くの著名な画家たちも描いている聖書のストーリーの中の一場面です。

 

どんな贋作に値がつくのか?

 

真作のコピーである贋作に値段がつくことは基本的にはなく、あったとしてもかなり”まれ”です。

当然といえば当然ですよね(>_<)

本来なら真作の悪意あるコピー品は許されません。

 

しかしながら、メーヘレンや「春峰庵事件(しゅんぽうあんじけん)」などの完成度の高い贋作は、その技術の高さと、絵に深い造詣を持つ著名人たちを出し抜いたというアイロニカルな実話も含めての純粋な「観賞用」の作品として、一定の価値が認められるということです。

 

 

♠春峰庵事件とは、1934年(昭和9年)に起こった肉筆浮世絵の大規模な偽造事件です。

画商、贋作を描いた絵師などのグループが詐欺で摘発され、当時美術史研究の権威だった笹川臨風が作品の推薦文を書いたことで詐欺の共犯容疑として、警察に勾留される騒ぎもありました。

詐欺グループのメンバーがそれぞれ偽りの役職を演じて騙しを行うとは大変けしからん事件ですが、なんだか2018年に発生した日本史上最大の地面師事件とも言われる、五反田55億円詐欺事件と手口が似ていますよね(>_<)

この事件も業界トップクラスの積水ハウスが被害にあい、会社が莫大な損失を被ってしまいました。

 

軸や額縁に価値がでる場合も

先ほどメーヘレンの贋作作りの手法をざっとご紹介したときに、「フェルメールと同じ17世紀の無名の画家の絵を買い取ってきて額縁だけを利用した」と筆者は書きましたが、たとえそれが趣味で絵を嗜んでいたアマチュアの描いた絵だとしても、年代物ならばオークションで数十万の値がつきます。

それは現在でも同様でして、ネットオークションでは無名の作者のアンティーク品でかつ真作ならば、500,000円近くか、それ以上の値で落札されています。

 

西洋絵画には欠かせない額縁も、紫檀や黒檀など木材の材料にこだわった額縁は例外なく高価な品と言えます。

さらにアンティークであるという付加価値が加われば、高価査定に繋がる可能性はかなり大きいでしょう。

 

 

( ^ω^)・・・

 

ということは、メーヘレンは贋作を作るのに大金をかけていたということになりますよね。

まぁ彼は画商として儲けていたのでそんなにお金に不自由はしなかったとは思いますが。

 

フェルメールは自身の作品に青色を配色する際には、必ずウルトラマリンという今でいうラピスラズリ(青金石)から作った顔料を使用していました。

鮮やかで美しい「フェルメールブルー」は有名ですよね。

ラピスラズリの原石を細かく砕き砂状にし、そこに溶かしたワックス・油・松ヤニなどを加えて混ぜる。
そうしてできた塊を薄い灰汁の中でこねると、粒子が容器の底に沈んでいき、最終的には青い粒子を含んだ透明な抽出物が完成する。

 

ラピスラズリは17世紀には非常に貴重な宝石で、アフガニスタンでしか産出せず、金よりも貴重だったので「天空の破片」と呼ばれました°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

また、ラピスラズリは日本語で青金石(せいきんせき)と呼んだりもするのですが、まさに青(天空の破片)・金(金よりも貴重)・石(宝石)ですよね(*‘∀‘)

 

ウルトラマリンは海路でヨーロッパまで運ばれてくるので、「海を越えた色(ウルトラマリン)」と呼ばれたわけです。

当時のウルトラマリンの価格は現在の日本円で700,000,000円ほどです。

 

メーヘレンも当然、フェルメールの贋作を製作するときは青色にウルトラマリンを使用していました。

ウルトラマリンの顔料はフェルメールの作品であると証明するための最大の証拠となりますから、そこをただの青い絵の具でごまかすわけには、絶対にいきません。

 

17世紀の絵をわざわざ買取して額縁だけを使用し、さらに宝石を顔料に使って作られたメーヘレンの技術と知識の集大成である贋作は、他の世に出回る贋作たちとは良い意味でも悪い意味でも次元が違いますよね(*_*;

 

美術品と贋作問題は一蓮托生

美術品と贋作の問題は、非常に古い歴史を持っています。

おそらく誰もが欲しいと思う美しく価値のある美術品が最初に作りだされたときと同時に贋作も作られ始めたのでしょうね。

贋作が作られる理由としては金銭的目的、名誉欲、愉快犯、個人的な憎悪など様々な理由が存在するわけですが💦💦

 

それにしても、真作だと思って購入した美術品が贋作やパチモノだと判明したら、それはもうショックですよね( ;∀;)

騙された、裏切られたという思いが溢れ出して、ワナワナと震えがでると思います((((;゚Д゚))))

そんな勢いでつい贋作を叩き壊してしまいそうになったら、いったん深呼吸をして冷静になりましょう。

贋作だからと言って全てを無価値と判断してしまうのはそれこそ無価値ですし、早計です。

 

贋作でも美術品や骨董品として一定の価値が認められる作品が存在するのは事実ですし、完成度の高い作品や制作年代が古い作品なら値段がつく場合もございます(‘◇’)ゞ
なので、贋作なのか真作なのかわからない古い絵画が出てきたら、一度査定にだしてみてからのほうがいいでしょう。

贋作の取扱について

もちろんですが贋作を本物と偽っての販売は犯罪ですし、著作権が存在する作品の贋作を勝手に製作してお金に換える行為も完全な違法となりますので、ご注意ください。


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